本文へジャンプ
日本語Englishnew!

トピックス

最新情報

  1. サッカロピン尿症(A.2-2)は高リジン血症II型ともいいます。本疾患では一般検査や臨床像から高アンモニア血症やシトリン欠損症が疑われることがあります。この場合、遺伝子の検査に先立ちメタボローム解析をすることが迅速診断の第一歩です。有機酸分析ではわかりません。尿中のサッカロピンを調べることが、サッカロピン尿症の迅速診断の第一歩です。超高精密に、迅速に、安価にサッカロピンを調べる検査が不可欠です。当検査所では尿や血清が届いた1,2日後に結果が分かります。確定度は99%と思われます。この確かな結果を得てから遺伝子解析に進むといいでしょう。なお、サッカロピンは尿が、リジンは血清が試料に適します。本疾患の検査法を開発し検査実績があり、高精度で迅速に分析できる当検査所を患者さんの迅速診断に活用してください。
  2. 2,3-ジヒドロキシ-2-メチル酪酸(2,3-dihydroxy-2-methylbutanoate)は有機酸血症のほか、高乳酸血症、MELAS、Leigh脳症、ミトコンドリア枯渇症候群などのミトコンドリア病で増加します。極性の高い有機酸ですので、通常の有機酸分析では感度が不十分ですが、当検査所の分析法は本物質の評価に適しています。是非、高乳酸血症などのミトコンドリア病のスクリーニングや鑑別にご利用ください。評価を希望される方はお気軽にご連絡ください。
  3. ERNDIMは有機酸血症の化学診断の外部精度管理を行なう国際機関です。2017年は高プロリン血症II型(H.2)の検体も送られてきました。27か国の102の検査施設が参加しましたが、正解だったのはわずか35施設(正解率34%)だったことから、今回は評価しないことになりました。当検査所はプロリンが 10 SD以上の高値、高プロリン血症II型の指標であるdelta-1-pyrroline-5-carboxylate (Δ5PC)が5SD高値で、その他の指標も多量に検出されました。従って、当検査所の本疾患の確定度は99%以上と思われます。
  4. 2016年のERNDIMのリジン尿性蛋白不耐症(D.7)(Lysinuric protein intolerance)の検体では最も重要な指標であるオロット酸(orotate)の増加を見逃した施設が104施設中17施設ありました。当検査所の評価では orotate は+9SDと高値でした。当検査所では Lys, Ornなどのアミノ酸も同時に測定しますのでLPIと化学診断することのできた検体でした。ERNDMとしては有機酸分析でorotate高値を見逃さないで欲しかったのですが、9SDの著増であっても検査法により、あるいは同じ検査法でも施設により精度が大きく異なることを示しています。
  5. 2017年のERNDIMはメバロン酸キナーゼ欠損症(A.20)も評価対象で、正解であった施設は68%にとどまりましたが、当検査所ではmevalonolactoneが4SD高値できれいなマススペクトルが得られました。 従って、当疾患も高い確定度で鑑別できるものと思われます。なお、この疾患は発熱時の検体を調べる必要があります。
  6. ERNDIMから2017年、グルタル酸尿症II型(multiple acyl-CoA dehydrogenation deficiency)と中鎖アシル-CoA 脱水素酵素欠損症(medium chain acyl-CoA dehydrogenase deficiency, MCAD)の検体も届きましたが、当検査所のメタボローム検査法で両疾患の化学診断は迅速、明白、容易に行うことができました。
  7. 当検査所ではアロプリノール負荷試験も行っています。 最近の例ではHypoxanthine phosphoribosyl transferase 欠損症を当検査所でスクリーニングした後、アロプリノールを負荷した尿で、より確定的な本症の化学診断ができました。ご利用ください。
  8. マロン酸血症(H.7)(malonyl-CoA decarboxylase deficiency)が疑われる場合は有機溶媒抽出法(有機酸分析)で行いますので、予めお知らせください。

2017年6月も日本疾患メタボローム解析研究所は国際的品質認証機関から合格施設と認定されました。2014年度から毎年認定証を受領しています。

 当研究所は多くの疾患を検査対象としていますが、その一部に有機酸血症があります。国内では医療保険機関内の検査施設で行う有機酸分析に限り保険が適用されていますが、海外では検査施設が国際機関から毎年、品質認証を得ているか否かが最も重要とみなされています。当研究所は最も評価の高い国際的な認証機関ERNDIM (註1)の外部評価プログラムに2014年から参加し毎回合格証を得ています。2017年6月にも引き続き合格施設と認定されました。
 なお、2016年度は世界の108機関が参加しましたが、日本からは当研究所を含む僅か2機関だけでした(イギリスは16施設、フランスは17施設、中国は7施設参加)。日本医用マススペクトル学会でも口内の検査施設にERNDIMへの参加を呼びかけています。

註1 European Research Network for evaluation and improvement of screening, Diagnosis and treatment of Inherited disorders of Metabolism

日本疾患メタボローム解析研究所は日本先天代謝異常学会の精密検査施設に認定されています。学会のホームページに掲載された疾患のほかにも当研究所でわかる疾患が多数あります。

〔研究〕論文発表

〔研究〕 論文発表 Published online before print April 3, 2017
Nit1 is a metabolite repair enzyme that hydrolyzes deaminated glutathione

Alessio Peracchi, Maria Veiga-da-Cunha, Tomiko Kuhara, Arthur J. L. Cooper, and Emile Van Schaftingen

http://www.pnas.org/content/early/2017/03/29/1613736114.abstract

最も魅力的な機能未知遺伝子トップ10のひとつ、Nit 1に関する論文です。当研究所のメタボロミクスの用途は広く、機能未知遺伝子の機能解明にも役立ちます。本論文のような生命科学の基礎研究や創薬のあらゆる段階での研究に利用できます。


兼六園 新緑

ページの先頭へ戻る戻る