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先天性代謝異常症・後天性代謝異常症130項目の診断支援

 先天性代謝異常症、後天性代謝異常症の診断を支援し、個別化医療に貢献します。

 先天性代謝異常症は、特定の酵素や輸送蛋白質の働きが生まれつき低下あるいは欠損しているため、代謝の不具合が起きて生ずる病気です。その不具合に応じて尿や血液に特定の代謝物が増加しますので、尿や血液の代謝物を普通の人と比較することで患者さんの不具合の原因がわかります。こうして、代謝物を調べることから、希少疾患や難治疾患の確定診断に必要な手がかりや証拠を得ることができます。多くの場合、どの遺伝子が異常なのかも分かりますので遺伝子診断でもあります。この代謝物解析は狭義の遺伝子診断に不可欠な情報を迅速に提供します。

 新生児から高齢者まであらゆる年齢の方が検査を受けることができます。非侵襲的に得られる尿を用い、診断を支援します(血清や脳脊髄液を調べることもできます)。最先端の人に優しい、費用対効果のきわめて高い検査です。診断の迅速化に役立てることで、一人一人の患者さんに合った医療、即ち“個別化医療”の実現に貢献します。発症前発見、早期診断、早期治療による心身障害の発生予防、障害の軽減に役立ちます。

 これらの疾患の有無はCTや超音波による検査、染色体検査、一般生化学検査ではわかりません。しかし、精密な機器を用い最新の手法で代謝の不具合を調べることで、紛らわしい病気を高精度、高感度、迅速に判別できます。当研究所代表はガスクロマトグラフ-質量分析器(GC/MS)という精密な分析機器を用い先天性代謝異常の診断支援を我が国で最も早くから実践してきました。この解像度の高い機器で、1995年に世界に先駆けてメタボローム解析という最新の手法を開発し、この手法で個々人の不具合を調べています。

 尿や血液に増加する低分子量の代謝物を質量分析法で調べて診断を支援することを化学診断と呼んでいます。この化学診断の対象となる130項目の疾患リストとそれぞれの確定度は別表に示します。

診断支援できる病気 (化学診断の対象疾患)

 当研究所のメタボローム解析(メタボロミクス)では、アミノ酸分析、有機酸分析、新生児マススクリーニング、タンデムマススクリーニング、結石症の原因分析、など既存の分析でわかる疾患の殆どを一斉に調べることができます。同時に血液や尿の一般検査で見つからない病気も多種類発見できます。プリンやピリミジン代謝異常症、ガラクトース血症などの糖代謝異常症、ホモシスチン尿症II型、III型、希少疾患による結石症の原因分析などです。メチルマロン酸尿症、プロピオン酸血症、イソ吉草酸血症などの多種類の有機酸代謝異常症(有機酸血症)も、フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症、メープルシロップ尿症(楓糖尿症)などの多種類のアミノ酸代謝異常症も調べることができます。多種類の疾患の一次スクリーニングと二次スクリーニング(確認検査)をまとめて、ここでは1回の検査で確定します。胆道閉鎖、劇症肝炎、ヘモクロマト―シス、ミトコンドリア異常症、肝脾腫、シトリン欠損症、β-メチルグルタコン酸尿症のスクリーニングや鑑別に有用な情報を提供します。

 130種類の病気の一つ一つは希少性疾患で、一般には診断に大変時間がかかりますので、疑わしい場合は間口の広い、しかも、精度の高い当研究所のメタボローム検査を早期に受けることが望ましいです。前任の金沢医科大学では多くの化学診断の実績を積みかさねてきました。しかしながら、残念なことに医学会や医療従事者にはまだ、浸透していない検査です。130種類の病気は、新生児科・小児科、神経内科のみでなく、代謝・内分泌内科、泌尿器科、腎臓内科、移植外科、整形外科その他の多くの科に関連しています。

 栄養不良、ビタミン欠乏、補因子(モリブデンなどのコファクター)欠乏、特殊(人口)栄養、極端な菜食主義により、あるいは薬により起こる後天性代謝異常についても、その原因がわかります。人によってはアセトアミノフェン(パラセタモール)や、抗てんかん薬バルプロ酸や、5-フルオロウラシル等の抗ガン剤で代謝の不具合がおきますが、検査を受ける人の不具合の原因がわかります。

 当研究所で調べることのできる130項目の疾患リストと確定度を次に示しました。これだけ多くの疾患を調べることのできる検査法は他にありません。また、大よその確定度を示している施設も他にありません。確定度99とあるのは化学診断された人たち全てが、次いで遺伝子解析をうけ、遺伝子の異常(変異)が全て確認された場合です。あるいは、遺伝子で証明する必要が全くないほどに明白と考えられる場合を含みます。なお、疾患リストのうち、糖新生や脂肪酸異化の不具合はその性質上、採尿時期によっては化学診断できないか、精度が低くなることがあり、そのことも表示しました。

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