7. スクリーニングとして活用
スクリーニングとして利用するという考えを持ちましょう。
臨床所見や一般検査から患者の不具合は何か、どの遺伝子や代謝経路に異常があるか推定し難いことが代謝異常症、特に先天性代謝異常症の特徴です。全新生児が多くの希少疾患のスクリーニングを受けるのは費用対効果が悪いといわれます。それでは、何らかの症状がみられたときに症状から考えられる希少疾患の検査を受けるとすればどうでしょう。費用対効果は大きく改善されます。例えば、結石症には原発性高蓚酸血症Ⅰ型、Ⅱ型、2,8-ジヒドロキシアデニン結石症、キサンチン尿症、シスチン尿症などの希少疾患が紛れていることがありますが、結石症を疑わせる症状が現れた場合にこのような疾患がわかる検査を受けるというのではどうでしょう。病気の人の発見率(該当する確率)は、全新生児が受けると仮定した場合1~数万人に1人ですが、結石症を疑わせる症状が現れた人を対象とすれば、発見率は数百倍高くなる可能性があります。当社のメタボローム検査で該当しないかもしれないが、万一、該当した場合、診断が数年、数十年遅れる危険性を回避できるという大きな利点があります。発見率が1~5人に一人と非常に高くなる場合は、発症から数年、数十年過ぎている可能性が高いのです。当社の検査では1回の検査で複数の疾患の有無が高い確定度、的中率で明らかになりますので、この検査をスクリーニングとして早期にうけることは費用対効果に優れます。(New 研究論文 参照)。早期発見により血液透析の時期を遅らせうる、肝・腎移植の効果を高めうる等の大きな利点があります。当社の検査をスクリーニングとして発症早期に活用することが、早期診断に不可欠です。現行のいわゆる“結石分析”ではこれらの希少疾患のバイオマーカー(指標物質)を測定していませんので、この検査から病因はわかりません。
シュウ酸や尿酸の高値、 慢性腎炎などでは早期に、スクリーニングとして用いれば費用対効果は高くなります。スクリーニングに用いることで早期に個別的治療戦略が立てられます。再生医療も近づいてきました。わが国の3歳児検診の際に行われる検尿は毎年90万人が受けます。仮に検尿で異常がある児でCT、超音波検査で異常のない児に限りスクリーニングしても意義は大きいでしょう。3歳児以降あるいは成人期に結石症を疑う所見を認めた人も初発から速やかに、腎機能が正常なうちに、 あるいは透析やその予備軍でさえ、生涯に一度は本代謝物解析でスクリーニングされることの意義は大きいと思います。