本文へジャンプ
日本語new!English

お知らせ 2023年12月15日

結石症や尿酸値異常の病因となる9種の希少疾患を迅速に診断支援
小児科、腎臓内科、泌尿器科、神経内科、内分泌内科の先生へ

尿路結石症、尿酸値異常の病因解明を目的に、表1に示す9種の疾患の診断支援を行います。
(1)結石症が起きてから、数年、あるいは数十年経ても、診断がついていない。
(2)低尿酸血症、高尿酸血症など尿酸値異常があるが、その原因が分かっていない。
(3)遺伝子変異が見つかったが、その変異が病的なものか否かを確認する必要がある。
上記のような場合、メタボロミクスが有効かつ不可欠です。メタボロミクスは、遺伝子解析では見逃す可能性がある変異もスクリーニングできるため、遺伝子解析と補い合うような関係があります。
日本人では結石症を来たさないと見なされてきた疾患についても、メタボロミクスという異なるアプロ-チも診断に取り入れることで違ってくることが予想されます。また、生活習慣病や頻度の高い疾患を有する患者群に希少疾患が見られることがあります。腎移植予定者で診断がついていない場合、移植前にメタボロミクスを試みてください。なお、腎性低尿酸血症(弊所の対象疾患ではない)、ファンコニー症候群、腎性グルコース尿などの鑑別診断、除外診断、スクリーニング等にもメタボロミクスが役立ちます。

表1 尿路結石症や尿酸値異常の病因解明を目的とした9種の疾患のスクリ-ニング

文献リスト 番号は表1の疾患リストの番号に対応

お知らせ 2023年10月5日

キサンチン尿症 I, II, III 型、xanthinuria type I, II, III 小児科、腎臓内科、泌尿器科、神経内科、内分泌内科の先生へ

この度、先生方の協力を得て、キサンチン尿症3例について国際誌 IJU Case Reports(オープンアクセス)に発表できました(PDF)。プリン代謝異常の一種であるキサンチン尿症にはI型 からⅢ型まであり、尿酸値異常(尿では著しい低値、血清では正常範囲のことが稀にある)、結石症、ある種の薬物による副作用(II型)、新生児痙攣などの重篤な神経症状(III型)等がみられます。診断に不可欠なbiomarkerは、キサンチン、ヒポキサンチン、尿酸です。これらは有機酸でもアミノ酸でもないプリン体です。尿酸は、生化学検査で測定されていますが、GC/MSのようなクロマトグラフ‐質量分析法で正確に測定する手法では保険の適用はありません。弊所では、上記のbiomarkerに加え、数種類のプリン体を評価し、6種類以上のプリン代謝異常を検索しています。これまで、I 型とII型を区別するにはアロプリノール負荷試験が必要でしたが、今回、負荷試験なしで区別することが可能になりました。希少疾患であるキサンチン尿症のうち、I型やII型はスクリーニングすべきか否か、関連学会でもまだ定まっていませんが、数年、数十年も病因が特定されない結石症患者については、是非、弊所の高精度で廉価な手法を活用していただきたいと思います。

 キサンチン尿症III型はモリブデン補因子欠損症です。発端者の場合、遺伝子解析に先立ってキサンチン尿症の有無をメタボローム解析で明らかにすることは理にかなっています。今回の研究成果から、モリブデン補因子欠損症の化学診断の確定度がさらに高まりました。

ページの先頭へ戻る戻る