ピリドキシン依存性てんかんの早期発見 α-aminoadipic semialdehyde dehydrogenase (AASADH; antiquitin; ALDH7A1) deficiency
小児神経科、新生児科、小児科の先生へ
本年4月以降、新たに2名のお子さんを、神経疾患のひとつ、リジン異化経路の代謝異常であるピリドキシン依存性てんかん(PDE)と化学診断しました。2名とも典型的な例といえる程、新規バイオマーカー(PMID: 32339489 本論文がご希望であればメールでお知らせください)の増加は顕著でした。PDEの発生頻度については想定以上に高いことが最近分かって参りました。本疾患にはピリドキシン投与をはじめとする有効な治療法があります。患者には継続的なピリドキシン投与を出来るだけ早く(遅くとも1歳までに)開始することが望ましく、診断が遅れるほど治療効果が低くなると言われています。今回の2名のお子さんは乳児期をとうに過ぎていましたが、治療を開始したところ、てんかん発作が消失しただけでなく、学校の成績も向上したそうです。これ以上の年令でも未診断の患者さんがいると予想されます。てんかんのお子さんで未だ診断がつかない場合やピリドキシンが有効であった場合、速やかに弊所のGC/MS尿メタボロミクスでPDEの有無を明らかにして下さい。典型例は一両日中にわかります。患者さんとその家族のために最先端で高感度なこの尿メタボロミクスをぜひ、利用してみてくださるようお願い致します。
原発性高蓚酸尿症III型の化学診断 Primary Hyperoxaluria type 3 (PH3), 4-hydroxy-2-oxoglutarate aldolase (HOGA) deficiency
小児科、腎臓内科、泌尿器科の先生へ
尿路結石症を来たす疾患に原発性高蓚酸尿症があります。原発性高蓚酸尿症I型、II型に加え、 最近III型が発見されました。弊所のGC/MS尿メタボロミクスでもIII型のバイオマーカーを設定していましたが、この度、実際にIII型の患者さんが間違いなく見つかることを確認しました。II型やIII型は軽症とみられがちですが、II型でも透析に移行する人もいますし、III型でも重篤な腎障害に陥ることも報告されています。従って、取り返しのつかないことにならないためにも、数年後あるいは数十年後でなく今すぐ、原発性高蓚酸尿症III型を含む結石症の病因となる代謝異常症の有無をGC/MS尿メタボロミクスで確認されますよう、願っています。